僕のクレイジーなバスライドについてたくさん質問をもらったよ。もし、それをひとことでまとめるなら“CRAZY”。二語だったら“NEVER AGAIN”!
ラオスからベトナムまでは飛行機で1時間150ドル。それだと余りに簡単過ぎて、ズルをしたバックパッカーみたいな気分だった。だから、ベトナムに戻る時は本来バックパッカーがする方法で帰ろうと決めた。35ドルのチケットを買ったら、汚くて混雑しているヴィエンチャンのセントラルステーションに案内された。バスに乗った時は何も考えていなかった。ぎゅうぎゅうになり始めた時、トイレに行くにも、どうにもできない事に気付いた。 そして心配し始めたのはそこからだ。1日中トイレに行けない?今日1日食事が出来ない?最初にトイレ休憩があったあたりから、楽しいバスライドが悪夢に変わった。トイレが無い場所では、見知らぬ人たちがそこら中で、あたかもそこがトイレみたいに用を足していた。トイレットペーパーもドアも無く、あちこちにオシッコのシミができて悪臭がただよっていた。それは、僕が今まで経験した中で一番不衛生な状況に違いない。10分間の休憩をとった時は、バスドライバーがビールを飲んでるのを間近で見ちゃった。バスを乗り降りする時には、通路の床で寝ている人たちの頭を踏みつけることもあったし、自分の座席に戻る時には他の座席を乗り越えなきゃいけなかったんだ。バスがクラクションを鳴らしたら、エンジンをかけて急に出発するんだ。どれだけの人が置いていかれたのかが気にかかるよ。
運転はどうだったと思う?ガードレールのない20mの崖がある山でもスピードを出していたし、スクーターが行き交い、道ばたで子ども達が遊んでいる町の中でもスピードを出してた。いつでも“じゃまだよ!”ってクラクションを鳴らしていたよ。そんな状況で眠れる人はいると思う?僕なんか、いつでも事故が起きたときに備えてたよ。逃げるのはフロントドアから?あり得ないよね!後ろのドア?ないんだ。万が一の時は窓をキックして脱出するのが唯一の方法だ。窓は閉めっぱなしだからね。靴を履いて蹴飛ばす?いや、そんな事はしない。僕はいつも首にさげてるカメラがあるから、きっとそれを使って脱出するよ。幸い無傷で助かるはず。そう考えていたときはただ、身体はぐったりしていて、お腹がぺこぺこ、脱水症状で寝ていなかった。
こんな25時間半は長過ぎる時間だったよ。東京から四国への12時間のドライブにもいつも文句を言っているけど、もう文句はいわないぞ。ラオスからのバスに比べれば日本での長時間のドライブなんか贅沢なものだ。もし誰かがアドバイスを求めてきたら、僕はこう答えるはず。“乗っちゃだめ”。“もう無理”って思うと同時に、近い将来、これよりもクレイジーな事をしてしまうかもと思う。こういう経験がないと、僕は人生がつまらなくなっちゃうんだ。
君たちも今度は地獄行きのバスライド頑張ってね。笑