SOS: GIVE US FOODS!

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町を次々と通り過ぎると、ほとんどが同じ景色だと気付くだろう。全部が壊滅状態だ。ここを通り過ぎた時は違った。壊滅した中で、誰かが大きな文字で“食べ物をください!”とメッセージを書いていた。僕は実際に、その町が津波のせいで何週間も道路が遮断され、閉じ込められていたのを知っていた。僕が心配したのは、どれくらいで食料品をそこに持って行けるかだった。僕らは隣に住む、生き残ったおばあさんに出会った。津波は街中を飲み込んだけれど、どうしたことか、彼女の家はびくともせずに建っていた。彼女は僕らが買って行った物資にすごく感謝してくれた。そして、彼女の息子は津波が来た時には郵便局で仕事中で亡くなったと話してくれた。息子のお葬式が次の日だと話した時、彼女は悲しそうだった。何て声をかける? どう反応する? 僕はただそこに立ちすくみ、受け入れるだけだった。そして彼女は別れ際に握手をして、僕らが去るまで、“ありがとう、ありがとう”と言ってくれた。なんて強い心なんだろう。同時に、彼女がしてくれた事がすごくありがたかった。
たくさんの人が僕がどうしているか心配してくれている。僕は大丈夫だよ。すごくいい気分ではないけれど、予想していた通りの気持ちだ。今は全てが問題だ。ハワイは僕のためにいつもそこにあり、リセットしたくなって帰る必要があれば、そうできる。原発はレベル7になった。それは世界でもかなり危険なレベルだという事を意味する。もしもう一つ仕事を選べるなら、僕は科学者になりたい。何故って? 僕はいつも何かするときに、最悪なシナリオを描いている。だから、僕にとっては、何かを、今起きているみたいなコントロール出来ない状況にすることはないはずだ。そして僕がこの世界で科学者だったら、こんな問題を解決する答えがあるはず。どうか前に進んで、僕らの世界を助けよう。君たちが必要なんだ!
ちょっともうろうとしてきたよ。ごめん、僕は何か言って取り消したくなる前に行かなきゃ。peace on earth!

KIRBY FUKUNAGA
ハワイで生まれ育ち、プロサーファー、フォイラー、スキンダイバー、カメラマンの肩書きを持ち、ウォーターマンとして、海で多くの時間を過ごし、海から多くのモノをもらいながら生活しています。彼が伝えようとしていることは、海がある生活は僕らを豊かにしてくれるということ。そして、自分だけではなく、いろいろなことをみんなにシェアし、人生を楽しむということ。現在は、ハワイでプライベートサーフィンガイドを主催。
カービー福永のハワイサーフィンガイド
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