インタビューはゆったりとした雰囲気の中で進んでいった。テッタのいう島時間だったんだろう。リラックスしてすらすらと丁寧に放してくれた。気持ちのいい取材時間だったと思う。印象に残ったフレーズは、ノースショアの波のスリルが楽しくなってきた。これから6年間試合に集中する。コーチ、インストラクターになる。こ の3つ。アイランドブレイクの達人になりつつある哲太が自分の将来を見据えているということで理解した。これからどんなサーフィンを見せ続けてくれるのか。注目していきたい。
Q;まず最初はファミリーのことから。結婚何年目になりましたか? お子さんはできました?
3年目ですね。子供はまだです。家を空けることになるトリップにも好きに行かしてくれるんで、俺としては楽ですね。彼女は茅ヶ崎のスポルティフで働いているんですけど。俺がトリップとかから帰ってくるとデートに出かけたりして。仲いいですよ。それに試合にも付いてきてもらってるんです。俺がどこまでいけるか挑戦して と励ましてくれます。だから俺も家族を支えなければと気合いが入る。いい感じです。
Q;仲がいいのが一番。幸せですね。次はフィッシング。哲太プロはGT釣りの名人で、ロッドはパームス、ルアーはゲーリーヤマモトのフィールドテスターでもあるわけですが、最近はまっている釣りはなんですか?
アオリイカの缶カラ釣りです。堤防から釣るんです。餌は生きたボラの泳がせで、竿を使わず、道糸を缶カラに巻いて投げるんです。缶は投げませんよ。生きたボラを道糸でたぐりながら泳がせて釣るやり方で、フィニッシュはロケットと呼んでる針を投入して仕留めるんです。イカが餌を抱いた瞬間から放さないようにやり取りす るテンションが楽しくて。道糸がイカの足とか体にちょっとでも触れると餌を放しちゃうから。引っ張って寄せてくるのが難しいんです。食い気のあるイカは餌を抱くと赤くなるんですよ、そんなときは強引にしても大丈夫だったり。とにかく面白いんです。
Q: 日本各地のサーフローカルにはイカ釣り名人が多いですよね。どうしてですかね。さてサーフィンです。ハワイにはどれぐらい来ているんですか? それとノースショアのサーフィンは楽しいですか?
ノースショアには中学2年生の15歳の時に初めて来ました。今は26歳ですから、ノース歴は11年ですね。毎年通って感じることは、日本で乗れない、ここにしかない波にチャレンジして、乗れるようになってきたのが何より嬉しいし楽しい。スリルが楽しくなってきたし。
Q; 好きなポイントはどこですか? ログキャビンがなにげにお気に入りと聞きましたが?
人がいない。掘れる。それもたまにバックドアみたいな感じになるんでログキャビンは好きなんです。でも、やはり大本命はバックドア。ノースよりのビハインドからバックドアに飛び込んでいって、超特急のスピードでバレルをグォーと一気にメイクしてスピッツと一緒にドカァーンと吹き出されてくる。最高ですよね。あのバッ クドアのバレルが大好きです。バレルの空間が広いしクリスタルで綺麗。水深が浅いから海底のリーフも見えるんですが、チューブのカーテン越しに外の景色もきれいに見えるんです。
Q;バレルの中で潰されるときって危険ですよね。どうやって対処するんですか?
岩をよけながら深いところに体を持っていくように。できるだけダイレクトヒットしないようにするだけです。俺は奄美育ちなんでリーフをよけるのが人よりちょっと上手いかも。
Q:故郷の奄美とハワイは同じ島国ですね。どんなところが似てますか?
島時間ですね。のんびりしている。時間に遅れても普通なとこかな。サーフィンでいえば、ビジターがいようがおかまいなしに波を回している。そんなところも俺たちと同じ。凄く似てます。天候でいえば、日射しや暑さも似てます。暖かくて、いい感じで暮らしていけそうな雰囲気でしょう。
Q;自分の将来をどう考えていますか?
スケジュール的にいえば、来年からはWQSに出場しようと考えてます。チャージしようと、やる気になってきました。WQSで6年は頑張る。それで33歳になったらコンテストは引退して、サーフィンコーチ、インストラクターとして奄美でキッズやジュニアを育成する。そんなことを考えてます。ビーチブレイクとリーフブレイクの両 方があって、いい波もいっぱいあるからサーフィンスクールとかトレーニングキャンプには最高のロケーションでしょう。そこで俺が経験とスキルを子供達に教えていけたらいいなと。俺の奄美のキャンプからWCTサーファーが誕生する。そんな嬉しいことは無いと思うんです。よろしくお願いします。
取材協力
インタビュー:大森修一
写真:木本直哉