A CITY LEFT BEHIND…

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僕らが南相馬市に行ったのは、市長が助けを求めてい
たからだ。前にも言ったとおり、表に出て世界中の国
に支援を求めるのは、かなり勇気がいることだ。日本
の政府機関としては特に。僕らは市役所に行き、トッ
プから状況について話を聞いた。それは先週の事だっ
た…
今週、日本政府が南相馬市のほぼ全域を追加した緊急
避難地域を拡大した。僕らが訪れた南相馬市は、今
は、”立入禁止”なんだ。昨日僕らは戻る途中で南相馬
市を通りかかったので、市役所に最近の進捗を聞こう
と立ち寄った。ここに、何が起きたかを書くよ…
日本政府は、南相馬市のほとんどの人に避難勧告を出
した。基本的には、”町を出ろ!”と言ったり、出る準備
をする。簡単な言葉だけど、アクションは何もない。
彼らは、避難用のバスも避難用シェルターも用意しな
かったし、避難を援助する人も送り込まなかった。全
てが市役所まかせだ。市内には70,000人がいて、ほとん
どの人は原発が放射能を放出し始めた時に避難し
た。20,000人くらいの人が町に残され、行き場がない。
政府は、保有している少ない避難所をやりくりするの
に混乱している。そして当分の間、南相馬市民は毎日
放射能について話をするんだ。たまに数値が高くて、
たまに低いって…
日本では物事が不正に処理されているという話が出
回っている。これはほんの一例だ。南相馬の市民や、
市役所の人のことを考えてる。先週、南相馬の放射能
区域で、自宅で奥さんと一緒に暮らすお年寄りに出
会った。彼は、誰も迎えに来ないと言っていた。そし
て車ががれきに埋まり、外に出ることができないと。
僕は、避難をやめた人は彼一人ではないと思ってい
る。
危機が日に日に大きくなるにつれ、僕は聞いたり見た
りすることに、ますます怒りを感じる。終わりがな
い。僕は来週また戻って、南相馬に立ち寄りたいと
思っている。出来ればみんなが避難するのを助けた
い。そこにいる人たちは、かなりの量の放射線を浴び
ているから、長く滞在すればするほど、彼らの命は短
くなってしまうだろう。僕はお年寄りや、子どもたち
の事を思ってる。南相馬市を助けて。
WE ARE ONEプロジェクトでは、必死に市民を助けようと
している南相馬市役所へ支援金の寄付を検討してい
る。僕に、どこへ支援金を寄付すればいいか聞いてき
た君たちにも、これがチャンス。デタラメなお役所仕
事みたいにはしない。悪い言葉でごめん。でも、
ちょっと僕はムカついてるんだ。
もし僕に、支援金を手渡ししてきて欲しければ、そう
するよ。南相馬市の一人たちが自宅へ戻れるかどうか
は分からないけれど。でも今は、助けなきゃいけない
んだ!

KIRBY FUKUNAGA
ハワイで生まれ育ち、プロサーファー、フォイラー、スキンダイバー、カメラマンの肩書きを持ち、ウォーターマンとして、海で多くの時間を過ごし、海から多くのモノをもらいながら生活しています。彼が伝えようとしていることは、海がある生活は僕らを豊かにしてくれるということ。そして、自分だけではなく、いろいろなことをみんなにシェアし、人生を楽しむということ。現在は、ハワイでプライベートサーフィンガイドを主催。
カービー福永のハワイサーフィンガイド
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