30年前はインターネットも携帯電話もなかった。波を予想する唯一の方法は、経験値があるサーファーからの情報だった。戸倉さんは日本でよく台風スウェルをチェイスしていたから、いつ、どこが良くなるか知っていた。で、ハワイにいる僕に電話をしてくれたんだ。戸倉さんは、”カービー、5日以内に台風が来るからチケットをとって。では後ほど”と言った。僕は旅行会社に電話をして日本行きのフライトに乗り、戸倉さんがエアポートでピックアップしてくれた。それから何時間もずっとドライブだ。たまにスーパー台風の進路を追って14時間ぶっ通しで運転したりした。台風が直撃する前にそのうねりでサーフし、風速100マイルの風が止み、台風が通過するまで屋内に待避していた。その後、海に直行してバックスウェルをゲットした。これは四国での台風1号のファーストスウェル、ファーストセッション。どの波もパーフェクトだったし、どれもバレルになっていた。台風が過ぎ去ると、僕らは台風2号を探し、追いかけ始めていた。そんなことが20年間も続いた。素晴らしい旅にしてくれた戸倉さんに感謝したい…
photo by Yoshiro Nakayama